「オーベンレンガーはひとり、星水晶に囲まれた湖畔にたたずんでいた。漆黒の髪とマントに星水晶の淡い光が映り、息づくように輝いている。静かな湖面を見つめる瞳は深い藍色。」
遠藤文子さんの新刊、『星の羅針盤』(東京創元社)からの一節です。
このオーベンレンガーという王様、リチャードの面影が重なりませんか?
著者の遠藤文子さん、リチャードのファンに違いない!(∩.∩)
オーベンレンガーは、フィーンという永遠の命をもつ種族(トールキンでいえばエルフに相当する種族でしょうか)の王。とはいえ、この『星の羅針盤』という作品、神秘的な藍色の瞳を持つ王様が魅力的なだけではありません。
澄み切った神秘的な美しさ(トールキンの神話物語と共通するような)を湛えている一方で、モンゴメリの描くプリンス・エドワード島(『赤毛のアン』)のような懐かしい、でも読む人の心までピュアにしてくれるような自然描写や細やかな日常生活のよろこびにも溢れ、また時には『若草物語』のようなやさしさ、暖かさやユーモアもある人間模様、そして時にはスパイもののようなスリリングな場面もあり・・・本当に時を忘れてしまいました。
人間の少女リーヴ、人間とフィーンの間に生まれたルシタナという二人の年若い女性の視点が中心となって描かれているのですが、繊細で豊かな感性の持ち主であるだけでなく、凜とした平和への強い意志を持った二人、これからどんな成長を遂げるのか楽しみ。そして二人を囲む個性的な登場人物たちもそれぞれ物語があり、とっても魅力的。
オーベンレンガーは、読んだ途端、リチャードの面影が浮かんだのですが、もし映画化するとしたら・・・って色々考えたくなってしまいました。(^o^)
リチャード・アーミティッジとトールキンを愛する私のツボにはまった一冊。
『星の羅針盤』は「サラファーンの星」シリーズの一作目、はやく続編が読みたいです!
お~面白そうですね!これは必読ですね^^