リチャード三世:The King in the Car Park2013/02/09 15:27

まだリチャード・アーミティッジの夢、つまりリチャード三世の物語を映画/ドラマ化するという夢、が実現するという具体的な話はないのですが、きっとするに違いないと期待を込めて、"Richard III"というカテゴリーを作ってしまいました。(^0^;)

リチャード三世の遺骨発掘に関するドキュメンタリー番組です:

コメント

_ jade ― 2013/02/10 03:27

75分もあって、長いから見ながらちびちび感想などを書きますので、まとまりがないです。なかなか面白いわ〜。

ヘンリー8世の絵の所で、「ブリテンで初めて記録されたデブ男」って・・・笑った〜〜!!! (^▽^)

しかし、よくぞこれだけピンポイントで発掘できましたね。あれしか掘らないで見つけるんだもの。すごいなあ! で、発掘の間、この駐車場を使っていた車はどこに移動したんだろう、とつまらないことが気になりました。 (^ ^; 近所の人たちはびっくりでしょうね。

骨が見つかったとたんに土砂降りになったって、王様は発見されたことを喜んでいるのか、いないのか。紋章を描いた物まで出て来たら、掘っていた人たちはきっともう確信をもったことでしょうねえ。骨を発掘した骨の専門家ジョーが「彼だわ、彼だわ」とつぶやいていたとか、この発掘を提起して資金を集めたリチャード三世協会のフィリッパが感極まってしまったのもわかります。あの場で、掘り出された骨の並びはせむしだと解説されたら、目の前でああして見ていても、すぐには信じられないでしょうねえ。しかも、彼女はせむしの王とはチューダー朝の作り上げた神話だと思っていたのですから、坐り込んでもしまいますよねえ。

鏃(やじり)と思われた物はローマ時代の釘だったとは!

それにしても、ローレンス・オリビエが付け鼻をしたら、あんなに感じが変わるんですね。いかにも悪そうだわ〜。

リチャードは若い頃ヨークに住んでいたのですか。戦士としても優れていたようです。

医学的な見解が示されるとフィリッパは、自分が長年信じていたことが覆ってしまったことをなかなか受け入れられないようですね。

王は明らかにせむし(これは医学用語ではなく、脊柱に異常のある人のことを言う)だけれども、この骨は『ノートルダムのせむし男』のカジモドようなせむしのものではない。右肩が上がっていて、肩骨も左右で太さが違い、右の方が太い。片腕が萎えていたという証拠はないが、女性の骨のように細い。

ところで、海の魚はそれより前の時期の炭素14の吸収が高いので、魚を食べていると炭素分析で時代がちょっと古く出るんですか。ということは、リチャードは魚をよく食べていたってことなんですかね(魚喰いのわたしも古く出るのか)。そこで、最初この骨の年代は1430-60と出ましたが、その食事のタンパク質の違いを入れて計算し直すと、1450-1540年ということで、1485年にボズワースの戦いで亡くなったリチャード三世の死亡時期がぴったりと収まるというわけです。

頭蓋骨の天頂の傷は、短剣をぐいと突き刺されたことによるそうで、これは彼が馬に乗っていなかったということを示しています。お〜、やっぱり、「国をやるから、馬をくれ〜〜!」状態だったんだわ。

頭蓋下の骨が切り取られた傷は、脳が見える状態だったので、これが致命傷のようです。現代の医学でも救えないそうです。
腰骨にも後ろから斬りつけられた跡があります。
これらの傷からわかることは、彼は馬の上に横たえられて縛り付けられ、頭がちょうどいい高さになるので、そこで誰かが頭に短剣をぶち込んだということだそうです。

炭素14の検査と、一つではなくいくつもの傷から、これは正にリチャード三世だとの結論です。とどめは、リチャードの姉妹の17代目の子孫のDNDと一致したことでした。

ところで、終わりの方でコメディー俳優のサイモンさん(この人赤いセーターばかり着てますね)が、これらの傷から中世の戦いはとても「残忍」brutalであると言っていますが、ボタンを押せば自分が戦場に立つことも無く相手を殺すことのできる現代と、どっちが残忍なんだろう。

復元された顔は、今後どこかで展示されるのかな? Bonny lad と言われていましたね。綺麗な、人好きのする顔です。改めて蝋人形とか作るのかしら? 現在はマダム・タッソーにあるんですか? 身長も(足首から先はなかったけど)わかったし、体型も顔もわかりましたものね。

初めの方で(34秒頃)ちょっと映りましたが、王様が発掘された場所は今後車は停められなくなるんでしょうね。リチャード三世専用ということですから。(^o^) 
No Parking Reserved Richard III

それにしても、歴史家のジョンが最初にこの駐車場を見た時に唯一空いていたのが、Rと記された区画だったとは。

_ jade ― 2013/02/10 13:06

9日付のBBCに、『時の娘』の作者ジョゼフィン・テイのことが取り上げられています。

http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-highlands-islands-21380622

彼女はスコットランドのインヴァネスの人で、ジョゼフィン・テイはペン・ネームです。とても多作な人で、ヒッチコックが映画化したものもあります。
他にも劇などをゴードン・デヴィオット名義で書いていて、『ボルドーのリチャード』では、リチャード二世を描き、ウエスト・エンドで一年舞台にかかった後、ブロードウエイに行ったそうです。ここでも、シェイクスピアに描かれた王を人間化しているとのことでした。この芝居で、ジョン・ギールグッドは世に出て、ローレンス・オリビエも彼女の芝居をやったそうです。スコットランドの女王メアリーも芝居にしています。

今回の発掘には、彼女が生きていたらさぞかし興味を持ってワクワクしたことでしょうね。1951年に没していますが。

_ jade ― 2013/02/10 19:31

えっと、まずは訂正から。最初の記事で 'DND'となっているのは、'DNA'の間違いです。

さて、みなさま、一体どうやって骨から顔を復元するのか興味がありませんか? そこでBBCが答えてくれました。

http://www.bbc.co.uk/news/magazine-21350181

リチャード三世の肖像画は、彼の死後に描かれた物です。ですから、はたしてどこまで当人を写しているのでしょう。

1485年に亡くなった骨がこんなによく保存されていたのは、人類学者にとっては別に驚きではありません。酸性度の低い土壌で虫がほとんどいないなら何千年でも元のままに保たれるのです。

復元を担当したダンディー大学のチームは、実際に骨を見てやったのではなく、CTスキャンと頭蓋骨の写真を送ってもらい、コンピュータで作業をしました。この時点では、だれもそれがリチャード三世の骨とは知りませんでした。リチャードがどのような外見であったかについて、あらゆる先入観をなくすことが肝心です。顔かたちはただ頭蓋骨だけに基づいています。

では、どうやって顔を作るのでしょう。
口の幅は歯の位置によって正確に決まります。眼窩の外側の小さな出っ張りは、目の外側の角です。こうした解剖学的な基準によって顔を復元します。

鼻は軟骨でできているので、以前は復元が難しかったのですが、最近は下の骨から鼻の柔らかい部分がどのようなものかを予測するやり方を見つけ出しました。
眉の形も推測ができますが、皺の数や額まではわかりません。

耳が一番難しい所です。頭蓋骨から推測できるのは、その人が耳たぶがあったかどうか、耳が頭のどの位置にあったかだけです。

顔の70%以上は誤差が2mm未満でなくてはなりません。
チームが推測で行ったのは、15世紀の顔にどれだけの肉がついていたかです。現在の平均的な細胞組織の厚みを使ったけれども、現在の顔よりも肉が薄かったり厚かったりしたかもしれません。

デジタルで頭を作るのに2日かかりました。それから、高速試作システム、つまり3Dプリントを使ってプラスティックから作ります。

人口の眼、本物らしい皮膚の質感が作られ、それらしく鬘もかぶせます。この段階は、死後に描かれた王の肖像を参考にしています。科学では、目の色や肌の色、髪型はわかりませんから。

3D印刷の進歩とCTスキャンが安く使えるようになったので、この5年で技術が向上しています。昨年ドレスデンで開かれた展示では、何百万年も前の人類の顔が復元されていました。

顔を復元するという考えは、50年前にソビエトの考古学者ミハイル・ゲラシモフが開発し、イワン雷帝などを復元しました。
しかし、復元は似せることはできても、生き写しにはできません。また、その対象に、高貴な容貌とか際立った容貌を与えてしまう危険があります。

しかし、リチャード三世の作業をした科学者たちは、科学に忠実であったようです。先入観をもたず、現代の技術を用いて筋肉や細胞組織を頭蓋骨につけていきました。
そして、作業をしたダンディー大学の教授キャロリン・ウィルキンソンは、それが肖像画ととても似ていることに驚いたそうです。

肖像画に描かれているよりもずっと若く見えますが、顔の復元は皺をつけないので、若く見えることがあるそうです。骨からは、皺をどこにつけたらいいかはわかりません。

この発掘を発案したリチャード三世協会のフィリッパ・ラングレイは、「ハンサム」だと言いました。「暴君の顔には見えないわ」

科学的観点からすると、ダンディー大学のチームは立派な仕事をしました。しかし、主観的な要素が常につきまといます。顔の表情は、人がどのように見えるかという重要な点です。顔を復元するにあたっては、どれか一つを選ばなくてはなりません。
________
誤差が2mm以下って、そりゃあそうですよね。目の位置が1mm違ったて、随分印象が変わってしまいますもの。でも、本当に肖像画はよくできていたのですね。

_ grendel's mum ― 2013/02/10 22:11

おおjadeさま、詳細な説明を(いつものとおり怠慢な私にかわって)ありがとう存じます。

それにしても、堀った場所が最初からどんぴしゃりだったなんてね。急に嵐になったとか、なんだかドラマチックですよね。

番組でも写真を見せてくれていましたが、あれだけ脊柱が曲がっていても、裸にならないかぎりは見た目はほとんど分からないっていうのが面白かったですね。だからほんとの「せむし」じゃなかったわけで、そういう意味では、フィリッパさんも最初の落胆ぶりからかなり回復できたのではないかしら。

ところで、たしかjadeさまから貸していただいた、リチャード三世協会絡みのミステリー、なんていうタイトルでしたっけ?(おもしろかったのに、題名思い出せない(__;))

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