QuickbeamさんのCinemaCon報告2012/04/27 15:08

TheOneRing.netのQuickbeamさんが、ラスベガスのCinemaConで上映された『ホビット』の10分間映像の内容、および48fps (48フレーム/秒)という新しい映像の報告をしてくれています!



まず、息をのむほど雄大で美しいニュージーランドの風景。その素晴らしさたるや、ず〜っと白黒映画ばかり観てきて、カラーを初めて見た人のような衝撃だったとか。
本当にその場に居るような感じがするんでしょうね。

さて、内容ですが、原作にはない色々と興味深いシーンがあるようです。


「白の会議」:サルマン、ガンダルフ、ガラドリエル、エルロンド

まず、モルグルの剣、すなわちアングマールの魔王=指輪の幽鬼の王の剣をめぐっての議論の場面。

ガラドリエルの説明によると、北方のデュネダインたち(=ヌメノール王国の末裔の人間たち)がアングマールの魔王を、地中深くのクリプトに魔法をかけて二度と日の目を見ないように埋めたということ。


ということは・・・原作でゴンドールのエアルヌル王がアングマールの王国を滅ぼした「フォルノストの戦」は映画には登場しないということですね。エルフのグロールフィンデルによる、ナズグルの王の運命についての予言のセリフもないということ。


さて、ガンダルフがこの地下のクリプトを暗闇の中、杖の明かりを頼りに探索していると、突然現れるのが、魔法使いのラダガスト。

シルヴェスター・マッコイのラダガストは、はまり役のようですね。おかしな形の帽子の下には鳥の巣が(!)そして髪の毛や髭には孵った幼鳥が(!)というすごいことになっているみたいですが、人なつこい人好きのするキャラクターだそうです。
ラダガストがジャックウサギの牽く橇に乗っている場面もあったとか。


「暗闇でなぞなぞ問答」:ゴクリとビルボ

ここはビルボ役のマーティン・フリーマンの演技が光っていて、アンディ・サーキスのゴクリには叶わないながらも、がんばっていたそうです。彼のビルボは、新たなホビット像を描き出すのに成功しているとのこと、楽しみですね。

ゴクリとビルボのやりとり、第一部の中でも傑出したエピソードになるでしょう。


「トロルたち」:トム・バート・ビル

LOTRの映画では石になってしまっている姿が映ったトロルたちですが、もちろん今度の『ホビット』では生きている姿が見られます。


原作どおり、彼らのアクセントはコックニー、会話も原作に忠実なようです!
原作ではドワーフは一人一人様子を見にやって来てトロルに捕まるのではなく、ビルボを救出するために、勇敢にみんなで突撃してくるそうです。
トーリン/RAがトロルの脚に容赦ない一撃を加え、"Drop him!"(「ビルボを離せ!」)と叫ぶ場面もあったとか。きゃああ〜〜〜。♥♥♥


「ドル・グルドアでのガンダルフとスライン」

ガンダルフ とスラインが争っている場面は予告編でも出てきましたが、今回はそのシーンに至る部分が見られたそうです。ガンダルフが周りを注意深く見回しながらドル・グルドアの地下牢を探索していると、ホラー映画で飛び上がる場面みたいに、突然スラインがガンダルフに襲いかかってくるそうです。
これは聞いていても、映画館で飛び上がりそうですね。


そしてそして〜

「レゴラスとタウリエルのアクション・シーンとトーリンの危機」

闇森で、蜘蛛の糸がまだべとべと絡みついたドワーフたちが走っていると、いきなり、トーリンの目の前に弓矢が突きつけられる場面に!!うわああ〜〜。

エヴァンジェリーナ・リリーのタウリエルは、レゴラスと同じような衣装で、ただ茶色だそうです。髪もブロンドではなく(LOTRで出てきたエルフはみなブロンドでしたが)彼女は栗色の髪だそうです。

オーランド・ブルーム/レゴラスが、リチャード・アーミティッジ/トーリンに弓矢を突きつけ、"I won't hesitate to kill you, Dwarf!"という場面はすごくクールだったと言っていますが、もちろん、その時のリチャード/トーリンの怒った顔の方が見応えあったに違いないと思います。うわ〜ん、見たいです、早く!


Quickbeamさんの48fpsに関する感想は、これは好き嫌いが分かれるだろうが、若者はこのまったく新しい表現方法にすぐに馴染むかもしれないけれど、年がいっている人たちは、慣れ親しんだ24fpsでミドル・アースを見たいと思うかも、とのこと。いずれにせよ、両方が提供されるわけですから、みんながハッピーという状況でしょう。(^o^)


1秒に48 フレームという新たな技術で、「リアリスティック」に見えるということは、リチャードのように繊細な目の表情、顔の表情で演技の出来る訳者には、有利なことだと思います。あ〜ん、あの目の演技・・・迫真でこれまで以上にリアルに見えたら、失神もの〜〜!

コメント

_ jade ― 2012/04/27 22:16

おほほ、↑読みながらよだれ垂れ流している姿が想像されますわ。

_ grendel's mum ― 2012/04/27 22:50

jadeさま、

まあ、よだれ垂れ流しだなんて〜(ってほんとだけど)。
劇場で犬みたいに舌出してよだれてる我が身が想像されます。不審者としてつまみ出されないように気をつけなきゃ。

_ grendel's mum ― 2012/04/28 11:32

ピーター・ジャクソンの批判に対する反撃コメントです:

http://insidemovies.ew.com/2012/04/27/peter-jackson-responds-hobbit/

要するに、慣れるのには時間がかかるかもしれないが、この新たなテクノロジーによる全く新しい映画体験となるチャンスを逃すつもりも、後戻りするつもりもない、という決意表明です。

先日の10分間の映像でも、後半にあったビルボとゴクリの場面で違和感を覚えなかったというコメントが多かったのは、たった数分の間のことでも、だんだん人は慣れてきたことの証拠。まだ未完成な部分もあった10分の映像ではなく、完成された映画作品では、また感想も異なる、つまり感銘を受けるだろうと確信しているようですね。たぶんPJとワーナーは正しいと思います。

_ jade ― 2012/04/30 22:31

こちらの28日付の The Hollywood Reporter に、もう少し詳しく技術的なことが書いてあります。

http://www.hollywoodreporter.com/news/peter-jackson-the-hobbit-cinemacon-317755

ただ単に48コマの問題だけなのではありません。撮影しているカメラがまた Red Epic という特別なもので、これは1コマを形成する水平のピクセル(画素)数が5,000で、現行のは2,000で撮影・投影されているのだそうです。ただ、映画業界では4,000の方向に移りつつあるとのこと。

1秒のコマ数とこの超高解像度の両方が相まって、もの凄くクリアな映像が出来上がり、これまでの映画のような「ぶれ」がないので、映画らしくない、HDのTVみたいだ、という不満が出てくる訳ですね。

でも、これって、アナログのLPからデジタルのCDに変わった時の抵抗と良く似ている感じがします。音がはっきりしすぎて嫌だというのがありました。わたしもその一人でした。LPに比べて当時のCDは聞いていると頭の芯が痛くなりました。ラジオで聞いていても、はっきりとLPではなくCDの音だとわかりました。アナログにある雑音や人間の可聴域以外の音を切り落としていたせいです。ただ、現在のCDは技術的に改良されたのか、そういう風に頭が痛くなることはありません。

記事ではデジタルカメラへの反応と比較しています。要は慣れの問題でしょう。

今PJがやろうとしていることは、これと同じくらいの変革なのだと思います。100年程馴染んで来たコマ数からその倍へ移行しようというのですから。そして、いずれはこちらの方向へ移行してくのでしょう。
ただ、PJは何もかもを48コマにすることは良いことだとは思っておらず、1本の映画の中に異なるコマ数を入れることも提案しています。そして、映画産業が今斜陽化しつつある時に24コマにしがみついていないで、人々が劇場に戻ってくるようにもっと活性化することを考えるべきだ、と提案しています。

しかし、現在の高解像度のTVですら、俳優さんたちは肌の色つやや皺の見え方に神経を使うのに、こんなにくっきりはっきりした映像が大画面に大写しになった日には、大変ですねえ〜。女優さんたち、どうする?!

_ jade ― 2012/04/30 22:35

え〜っと、上の議論がよくわからない人は、地上アナログをブラウン管TVで見ている場合の画像と、デジタル映像をフルハイヴィジョンの高画質TVで見ている場合の映像の違いを思って下さい。

_ grendel's mum ― 2012/04/30 23:15

jadeさま、

詳しい解説ありがとうございます。
CDとアナログLPの例え、分かりやすいですね。今でもアナログ派っているし、好みの問題ですね、最終的には。
どういうスピーカーで鳴らすのが好きかっていうのと同じで・・・硬質で透明な音が好きな人もいれば、もっとぼわっと暖かみのある音が好きな人もいるし。

VSHからDVDになった時のこと、DVDからBlurayになった時のことを考えると、一度48fpsに慣れたら、もう24fpsには戻れないってことにいずれなりそうな気がします。

昨日ダンスのDVDを見ていて思ったのですが、たしかにたとえば「あ、この脚の振り上げたところ、スローモーションして見たい」とか思っても、今だとただぼやけてだめですものね。
RAが剣を振り回すシーンなんかで、その動きがくっきり見えるっていいわあ。

でもたしかに女優さんには酷ですね。顔の皺は、生きてきた証拠、美しい、って開き直るしかないわ。

_ jade ― 2012/05/02 21:47

5月1日付けの Hollywood Reporter に、PJがホビットのために新しいドルビー・アトモス・フォーマットを考えていると載っています。映像だけではなく、音声の方にも変革をもたらそうとしているのですね。でも、3Dサウンドってサラウンドとどう違うのかな? 天井も含めて劇場中にスピーカーを配置するそうですけど、説明を読んでもよく分かりません。まあ、スピーカーの数が増えれば、それだけ生の音に近くなるのでしょうか。
ただ、これを最初に使うのはディズニーとピクサーの Brave になります。ドルビーは世界の10〜15の劇場に試験的に導入するそうです。最終的な目標は、これを家庭やPC、モバイルに導入することだとのこと。

http://www.hollywoodreporter.com/news/peter-jackson-hobbit-dolby-atmos-318708

_ jade ― 2012/05/03 01:27

Enjoy 'Todd of the Rings'! 25 minutes and 55 seconds. Another wonderful parody of LotR. (^♢^)

http://www.youtube.com/watch?v=62-qkUksmNY

_ grendel's mum ― 2012/05/03 21:38

jadeさま

なんだか『ホビット』はあらゆる意味で革新的な映画になりそうですね。そんな映画史上記念碑的な映画に、リチャード・アーミティッジが出るってうれしい。うるうる。

ところで、LotRのパロディ、まだ見ていませんが、jadeさんご覧になりました?

_ jade ― 2012/05/04 20:18

あんまり真面目にちゃんとは見ていませんが、何回か見ました。脱力して下さい。 (^ ^;; フロドをやっている人が脚本・制作のようです。

ところで、2日付の Entertainmennt Weekly に、スタンリー・キューブリックの '2001: A Space Odyssey' を撮影し、スピルバーグのも手がけ、PJが今度使った技術についても良く知っていて、すでに80年代に1秒60コマを開発したダグラス・トランブルという人のことが載っています。この前の10分間の映像を見た人たちが不満をもらしたことについては、ホビットは正しい方向へ向かっていると述べています。時間が経てば、慣れるだろうとのことです。
ちょっと長いので、まだ全部読んでいません。

http://insidemovies.ew.com/2012/05/02/douglas-trumbull-hobbit-frame-speed/

_ grendel's mum ― 2012/05/05 00:56

jadeさま、

やだ、このダグラス・トランブルさんが出た番組の動画、この間このブログでも記事にしたじゃないですかあ!jadeさまも見たでしょ!
「映画『ホビット』48fpsの拓く新時代?」っていう記事の動画ですよん。

_ jade ― 2012/05/06 18:01

ああ、同じ人でしたか。でも、HRとは別の記事でしょ。

ところで、1日付の TORn によると、'The Todd of the Rings' は、ハリウッドの人たちが作ったものだそうで、フロドをやっている Vic Mignogna (この姓はなんと読むのかな)さんはアニメの声優で有名らしいです。ガンダルフは皆様のホストですとのことですが、つまり記事を書いている Quickbeam さんてこと?!衣装は国中のトールキン・ファンが寄付された物だそうです。

http://www.theonering.net/torwp/2012/05/01/55577-anime-star-vic-mignogna-talks-todd-of-the-rings-parody-on-torn-tuesday-live-today-5pm-pacific/

_ jade ― 2012/05/06 18:03

>HRとは別の記事

じゃなくて、EWとは別の記事、でした。

_ grendel's mum ― 2012/05/07 00:16

jadeさま

はい、私がアップしたのは動画でEWのこの記事じゃありません。
この記事、すごい詳細さ。

The Todd of the Ringsってパロディ、Youtubeなら記事にしなきゃね。でもまず見てからじゃないと。

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